川口元郷 内科 循環器内科 川口領家循環器内科クリニック

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院長のひとこと

Director's column

肺悪性疾患の手術療法

誰もが痛いことは嫌いで、手術と言われると不安などで身構えてしまうのは当然のことです。

今回は肺の手術、特に癌など悪性疾患時の話をしたいと思います。

一般的に心臓の手術は機能を改善させる手術とされるのに対し、肺の手術は機能喪失の手術とされます。肺の手術でも機能喪失しないものも多いのですが、肺癌など悪性疾患では肺の一部または、そのほとんどを切除しなければならないので、術後に労作業時の息切れ感などが生じる場合があります。

肺の手術は大きく分けると肺の一部を取る肺部分切除および区域切除と、大部分を取る肺葉切除に分けられます。肺は左右5つに分かれており、右3葉、左2葉に分かれています。各葉は右上・中・下葉となり、左上・下葉になっています。その肺葉の部分に癌が発生した場合、癌のみを取るだけでなく肺葉全体を取らなければならないことが往々にしてあります。癌は血液やリンパを介して転移するため、ある程度大きな癌の場合は、癌だけを切除することは難しく肺葉ごと取り除くこととなります。すると右なら3葉が2葉に減り、左だと1葉になってしまいます。切除された部分は残存した肺が膨らみその空間を埋めたり、横隔膜が上昇して空間を埋めます。しかし切除に伴う機能の低下は否めません。また肺葉切除を伴う手術では、それに付属するリンパ節も同時に切除します。

昔は胸を30cmほど大きく切り開いて手術をしていましたが、近年では胸腔鏡を使用した小切開手術やロボット手術も多用され傷も小さくなっています。小切開のため昔のように、長期入院や術後疼痛に苦しむことも少なくなっています。

手術は誰しもが行いたくないものですが、手術によって健康を取り戻し日常生活が戻るのであれば行うべきと思います。

手術を受けることは、大きな決断となるのでよく主治医と相談し、場合によってはセカンドオピニオンなども利用して十分納得した上で受けることが重要かと思います。

2023.09.08
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