サプリメントの功罪
世間を騒がせている紅麹を含んだサプリメント(サプリ)の健康被害ですが、これは珍しいことでないかも知れません。昨今はテレビでも新聞でも多くサプリの宣伝が大きくされています。実際、サプリを服用している中高年の方も多く、それだけ売り上げも高いものと思われます。
サプリには、特定保険用食品(トクホ)や機能性表示食品があります。特定保険用食品は健康の維持・増進に役立つことを科学的検証されたもので、表示される効果・効能、安全性に関しては国が審査を行い、食品ごとに消費者庁長官の許可を与えるものです。
機能性表示食品は、製造事業者の責任において科学的な検証を行った上で機能性を表示した食品で、販売前には安全性など消費者庁に届け出は必要ですが、国の審査はなく消費者庁長官の許可も必要ありません。この点がトクホとの違いになります。
機能性表示食品の場合は、国の関与する部分が少なく、一定以上の条件が整えば、どの事業者も申請・販売することができます。これは、安倍政権時代、規制緩和の一環で国主導で始まりました。
科学的な検証とは、その製品の有用性を示す科学的なデータを、実験や臨床試験などで集め統計学的な手法等を用い検討し効果・効能が本当にあるのかを検証することで、研究費や開発費などもかさみます。テレビや新聞等の広告では、その根拠となるデータが小さく表示されている場合がほとんどです。臨床試験も少人数(一桁人数)で実施されているものが少なくなく、これでは統計学的にも有用性は証明できないはずですが有効とされています。また、よく見るのは、効果を示しているのは個人の意見・感想という文言です。これは科学ではありません。日本医師会も、機能性表示食品に関しては当初から国の検討会で、その仕組みに関して疑問を呈していました。それが現実となってしまったわけです。
トクホより機能性表示食品のほうが有効性に関しては、疑ってかかったほうが良いかもしれません。広告等を見てサプリ服用の最終的な判断は消費者が行うものであり自己責任も伴います。安価な商品だけではないことからも、企業側にはより厳格な管理・運用をしていただきたいと強く思います。