川口元郷 内科 循環器内科 川口領家循環器内科クリニック

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胸膜腫瘍

今回は話を元に戻して胸膜腫瘍についてお話ししたいと思います。

胸膜とは肺の外側全体を覆う薄い膜状の構造物です。この膜があることで肺はスムーズに動き伸び縮みができます。この胸膜できる腫瘍が胸膜中皮腫です。頻度としては、かなり少なく珍しい腫瘍ですが悪性度が高い腫瘍です。腫瘍は胸膜の中皮から発生します。胸膜全体に広がるものや、一部に限局して生じるものがあります。

胸膜中皮腫は、以前建築材料で使用されたアスベスト(石綿)の暴露により発生することが知られています。アスベストは天然に産出する繊維状のケイ酸塩物質で、断熱材などで使用されていました。現在ではアスベスト飛散吸入により胸膜中皮腫を発症させることが問題となり製造が禁止されています。よって昔の建物や工場を解体する際にアスベストが使用されていたか否かを調べることが、中皮腫を予防する点で非常に重要となります。

中皮腫は男性に多く、長時間かけてゆっくり発症する場合や急速に発症することもあります。治療に対しては抵抗性で予後も非常に悪い腫瘍です。

症状としては、息切れ感などがありますが、無症状でたまたま胸部X線を撮った際に発見される場合もあります。診断にはアスベスト暴露の既往、胸部X線やCTなどの画像診断を行います。次に腫瘍が体表面に近い部分にあるなら腫瘍細胞の一部を取る生検を行います。しかし、生検を行ったとしても中皮腫の確定診断がつかない場合も多く、開胸手術による生検まで行うこともあります。発見時、既に胸水貯留のある、かなり進行した状態もあります。治療には手術や抗がん剤、放射線治療などありますが、いずれの治療成績も良くありません。

2020.06.03
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